「毎日歩いているから、転ぶことはない」そう思っていませんか?
こんにちは。
東京都世田谷区で自費リハビリ&ピラティスを提供する、Rehealth代表の清水です。
「毎日1万歩歩くから、体力には自信がある」
「これだけ歩いていれば、将来も安心」
そのように、健康のために日頃から意識的に歩かれている方は多いと思います。
もちろん歩くことは、心身にとって間違いなくプラスになる、素晴らしい習慣です。
ただ、シニア世代の方にとって「転倒」は、一度の骨折で寝たきりになったり、ガクッと体力が落ちたりするきっかけになりかねない、怖いイベントでもあります。
だからこそ、「歩いているから大丈夫」という油断は禁物です。
というのも、「健康のために歩くこと」と「転倒しづらい体を作ること」は、少し違うからです。
この記事では、「なぜ日頃から歩いているのに転んでしまうのか」という疑問に対して考えていくとともに、転倒予防に本当に必要な視点を専門的な立場からしっかり解説していきます。
最新の研究も取り入れ、少し踏み込んだ内容になりますが、あなたや家族の健康を守るための大切なポイントが詰まっているはずです。
ぜひじっくりと読み進めてみてください。
▶︎目次
- 【結論】歩くだけでは、転倒は防ぎきれない
- 「普通に歩けていても転倒」が起きる3つの理由
- バランス能力の正体とは?
- 歩数と転倒の関係は、シンプルじゃない
- エビデンスから考える“転倒予防”
- 「転ぶのが怖い」という気持ちも、実はリスクになる
- よくある誤解
- 転倒リスク -セルフチェック-
- まとめ
【結論】歩くだけでは、転倒は防ぎきれない
散歩をすることは、健康にとって非常に価値のある習慣です。
心血管疾患の予防や死亡リスクの低減など、歩くことによる健康上のメリットは、テレビやお医者さんの言葉など、よく耳にすると思います。
ただし、「転倒を防ぐ」という目的に絞ると、話は変わってきます。
転倒予防に関する国際的なガイドラインでは、リスクを減らすためには、単なるウォーキング(有酸素運動)だけでなく、「バランスに挑戦する運動」と「一人ひとりに応じた筋力トレーニング」などを組み合わせることが推奨されています。
さらに、2025年に公開されたアメリカ理学療法士協会の臨床実践ガイドラインでも、転倒予防のための運動は「漸進的で十分に挑戦的なバランストレーニングを含む複合運動(multicomponent exercise)」であることが強く推奨されております(エビデンスレベル:I、推奨強度:Strong)。
これは、「歩くことに意味がない」と言いたいわけではありません。
先にも触れたように、歩行は健康の土台作りとして不可欠です。
しかし、いざという時に転倒を回避するための「とっさの反応」、「姿勢を立て直す力」は、ただ一定のリズムで歩いているだけでは養われません。
「健康のためのウォーキング」と「転倒しないための体づくり」は、似て非なるものなのです。
当たり前のように思えますが、なぜ歩くだけでは不十分なのか、その具体的な理由を深掘りしていければと思います。
「普通に歩けていても転倒」が起きる3つの理由
「先日転んでしまって…」
身の周りで、いままで元気に歩いていた方が転んでしまった。そんな話を聞くことはありませんか?
ここでは、研究データも踏まえながら、転倒が起きる理由を3つ考えてみたいと思います。
理由① :「前に進む能力」と「姿勢を立て直す能力」は別物
「毎日歩いているから大丈夫」。
そう思っていても転んでしまうのは、「まっすぐ前に進む力」と、「崩れた姿勢を立て直す力」が別物だからです。
ウォーキングは一定のリズムで前へ進む運動ですが、日常で危ないのは、またぐ・方向転換・振り向く・よける などの“瞬間的な動きの時”です。
この時に必要なのは「前に進む力」よりも、「崩れた姿勢を立て直す力」、いわゆる“バランス能力” となります。
この“バランス能力”の重要性は、2025年に公開された日本の研究でも示唆されています。
滋賀県米原市の地域在住高齢者を対象に、過去3年間の転倒(1,695件)について調べた横断研究※の結果から、転倒で最も多かったのは、きっかけとしては「つまずき」で、方向としては「前方」への転倒でした。
一方で、股関節や背骨など重大な骨折につながりやすかったのは、「つまずき」よりも、「バランスの喪失」や「滑り」により「後方・真下・側方」に転んでいたということがデータとして示されました。
ウォーキングも大切ですが、ただ歩くだけでは、転倒に関連する「つまずかないための身体機能」や「後ろや横方向への崩れ」に対応する力は十分に鍛えられません。
そして、骨折リスクも考えると、「全方向」にある程度対応できるバランス能力が大切と考えられます。
※この研究は郵送の自己記入式アンケートを用いた横断研究で、因果を断定するものではありません
理由②:転倒回避に重要なのは、「筋力」よりも、「パワー」
転びそうになった時、ゆっくり踏ん張っている時間はありません。
つまずいた瞬間にグッと踏ん張って体勢を立て直す、崩れそうな体を一瞬で持ち上げる 、といった対応力が求められます。
このような場面では、筋肉の強さを示す「筋力」よりも、“脚全体”で一気に力を出す能力「パワー(瞬発力)」が大切となります。
「筋力」と「パワー」の違いを表すと、下記のようなイメージです。
• 筋力( Strength): 重いものを持ち上げる力
• パワー(Power): 力をすばやく発揮する能力→力 × 速さ
2025年に公開された複数の研究をまとめた分析では、「加齢とともに、筋力よりもパワーの方が衰えやすい」こと、そして「パワーの低下が転倒リスクと強く関連している」ことが示唆されています。
歩き方の工夫(速歩きや坂道歩行など)や、人によっては歩くだけでもある程度の「筋力」はつくと思うので、歩くことの大切さはここでも変わりませんが、「パワー」に関しては鍛えづらい部分になるので別の対策が必要になってきます。
もちろん、転倒は本当に多くの要因が絡みますが、「歩けるけど、とっさの時に踏ん張れない」という人は、この“パワー不足”を疑ってみる価値がありそうです。
理由③:身体機能だけでなく、状況をさばく「認知機能」が関わってくる
もう一つ、非常に重要ながら見落とされやすいのがこの部分です。
実際の日常生活では、ただ何もない直線を歩くだけではありません。「信号の点滅を見て歩調を変える」「人混みをよける」「夕飯の準備を考えながら歩く」など、私たちは常に歩くことと別の情報処理を同時に行う、ながら作業(デュアルタスク)をしています。
これまで当たり前のようにこなしていた「ながら作業」ですが、加齢とともに脳の情報処理スピードは徐々に低下していきます。
そのため、とっさの時に転ばないためには、筋力・パワーなどの身体機能だけでなく、脳が状況を素早く処理する機能が必要になります。
実際、転倒リスク因子をまとめた最新のアンブレラレビューでも、身体機能(バランス・歩行)に加え、実行機能(段取りや切り替え)や処理速度、そしてデュアルタスクの能力が、転倒と極めて関連しやすい要因として整理されました。
皆さんが気にしがちな一般的な記憶力や言語能力よりも、実はこうした「状況をさばく脳の働き」が転倒との関連が強いことがわかっています。
また、転倒予防の国際的なガイドラインでも、転倒リスク評価の一部として、こうした認知の側面を含めて見立てることが推奨されています。
普段はしっかり歩けている方でも、歩きながら別のことに気を取られているときに不意につまずくと、脳の情報処理が追いつかず、体勢の立て直しが遅れてしまうのです。
では、なぜ歳をとると、今まで普通にできていた「歩きながら〇〇する」というだけで、急に脳の情報処理が追いつかなくなってしまうのでしょうか?
ここからは、転倒について考える上で外せない「バランス能力の正体」について深掘りしながら、その謎も紐解いていきます。
バランス能力の正体とは?
「バランス能力」と聞くと、足腰の筋力など、筋・骨格系の問題をイメージされがちですが、実はそれだけではありません。
そのメカニズムはとても複雑ですが、現在の科学で示されていることを踏まえ、可能な限り、わかりやすく紐解いていきます。
一言でいえば、バランス能力とは「視覚」「前庭覚」「体性感覚」という3つのセンサーからの情報を脳が統合し、必要な筋肉の働きを瞬時に引き出す能力です。
私たちが立ったり歩いたりする際、脳には絶えず以下の情報が送られています。
⚫︎視覚:目からの情報で、自分と周囲との位置関係を把握する
⚫︎前庭覚:耳の奥の器官で、頭の傾きや加速度を感知する
⚫︎体性感覚:足裏の感覚や、関節がどのくらい曲がっているかを感じ取る
脳はこれらの情報を瞬時に統合し、「今、自分の体がどの方向にどれくらい傾いているか」を正確に判断して、筋肉へ指令を出します。
この一連のシステムがうまく機能して初めて、私たちは転ばずに姿勢を保つことができるのです。
しかし加齢とともに、これらの感覚の精度は徐々に低下していきます。
・視力やコントラスト感度の低下(段差や境目が見えにくくなる)
・前庭の有毛細胞の減少による平衡反応の遅れ
・末梢神経の変性による足裏の触覚・位置覚の鈍化
その結果、「自分が今どう立っているか」を脳が正確に把握しづらくなることがあります。
例えば、足裏の感覚が鈍くなると、床からの情報が脳に届くまでに遅れが生じます。体が傾き始めているのに気づくのが遅れ、そのわずかな時間差が「転倒」につながってしまうこともあります。
実際、足底感覚が低下している高齢者ほどバランステストのスコアが低く、転倒歴との関連も報告されています。
さらに、理由③で触れた「認知機能」の話と繋がってきます。
感覚センサーの精度が落ちると、脳はそれを補うために「前頭前野」などを使って、注意深く体をコントロールしようとします。
本来、無意識かつ自動的に行われていた姿勢制御が、脳のエネルギー(認知資源)を多く消費する、「意識的なコントロール」に変わってしまうのです。
これが、理由③で述べた「ながら作業で転びやすくなる」要因の一つと考えられます。 暗い場所や不安定な足場を歩くとき、あるいは歩きながら考え事やおしゃべりをしている場面で、脳の処理が追いつかなくなり、ふらつきやすくなります。
ここで僕がお伝したいのは、【バランス能力 = 感覚入力・処理 × 筋出力】 という視点です。
いくら筋力が十分あっても、感覚入力が不正確であれば、適切なタイミングで適切な筋を使うことができません。
逆に、感覚が適切でも、出力(パワー)が弱ければ立て直すのが難しくなります。
つまり、バランス能力の低下は「単なる筋力の問題」ではなく、「神経系と感覚系を含めた統合能力の問題」なのです。
実際の臨床現場でも、「筋力は保たれているのに、なぜかふらついてしまう」方は少なくありません。
そして何より厄介なのは、自分の足底感覚や前庭機能の低下に、自覚がない方が非常に多いということです。
「自分はまだ大丈夫」と思っていても、感覚の精度は知らぬ間に変化している可能性があります。
歩数と転倒の関係は、実はシンプルじゃない
ここで、一度、「歩数」に焦点を当ててみたいと思います。
昔から、「1日1万歩歩くと良い」、というような話を耳にすると思います。
確かに歩数を増やすこと自体は、死亡リスクの低下や心血管疾患の予防など、多くの健康上のメリットがあります。
ただし、「歩数」と「転倒」の関係は、直感に反する部分があります。
2025年に発表された、世界中の57の研究をまとめた大規模な分析※では、「1日に何歩歩くと、どの程度健康上のメリットがあるか」について、さまざまな健康アウトカムをもとに調べられました。
転倒についても分析が行われ、1日約7,000歩を歩く人は、2,000歩の人と比べて転倒リスクが約28%低かったという結果が報告されています。
ただし興味深いのは、その関係が「右肩下がりの直線」ではないこと。 ある程度の歩数(おおよそ7,000〜9,000歩/日あたり)を超えると、それ以上歩いても転倒リスクの低下幅は頭打ちになる傾向が示されています。
つまり、「歩けば歩くほど転倒しなくなる」とは単純には言えないようです。
また、「歩数」とは、少し話が変わりますが、別の研究では、「筋肉量」「握力」「歩行速度」といったサルコペニア(加齢に伴う筋肉の衰え)に関連する指標が、転倒リスクとどう関係するかが分析されました。
結果として最も注目されたのは、歩行速度と転倒リスクの関係です。
歩行速度が速い人ほど転倒リスクが低く、その関連は遺伝的な分析でも支持されました。つまり、「歩行速度が速いこと」は、単に健康な人の特徴というだけでなく、転倒リスクを下げる要因そのものである可能性が示唆されています。
これらのことが示唆しているのは、「歩数」よりも「歩行の質(速度やバランスを含めた歩き方)」が、転倒予防においてはより重要な指標かもしれない、ということ。 そして、「たくさん歩く=転ばない」ではない、ということ。
歩くことの健康上の意義は間違いなく大きいです。
ただ、転倒予防という文脈では、ただ歩数を稼ぐだけでなく、バランスや歩行の質を高めるトレーニングを組み合わせることが大切だという点は、ぜひ押さえておいていただきたいポイントです。
エビデンスから考える“転倒予防”
ここまで読んでくださった方は、「じゃあ実際に何をすればいいの?」と思われているかもしれません。
転倒予防に関しては、世界中の研究者や臨床家が長年議論を重ねてきた分野です。 そして2022年には、39カ国の専門家が参加して作成された国際的な転倒予防ガイドラインが発表されました 。
このガイドラインでは、高齢者の転倒予防に向けた取り組みが、科学的根拠(エビデンス)の強さとともに整理されています 。
その中で、最も高い推奨度(グレード1A)として推奨されているのが、「バランスへの挑戦」と「機能的な動き」を組み合わせた運動プログラムです。
具体的には、椅子からの立ち座り(sit-to-stand)、スクワット、立った状態でのリーチ動作、足幅を狭くして立つ課題、さまざまな方向・速度・環境でのステップや歩行、二重課題(dual task)などの運動が示されています。
さらに、個々の状況に合わせて個別化した段階的な筋力トレーニングや、太極拳を組み合わせることも強く推奨されております。
また、運動プログラムを成功させるために、以下の要素が重視されています。
⚫︎バランスに十分な負荷をかける:単に動くだけでなく、バランス能力をしっかり使う課題を取り入れること
⚫︎個別性と段階的負荷:その人の能力に合わせ、少しずつ運動の強度を上げていくこと
⚫︎頻度と期間:週3回以上、最低12週間は継続すること
⚫︎継続性:運動を止めると効果が失われてしまうため、可能な限り長く続けること
⚫︎専門家による指導:理学療法士などの適切な訓練を受けた専門家が、安全に配慮して調整することが望ましい
逆に、ウォーキングだけでは、転倒予防としては不十分であるとも明記されています。
さらに、2025年に発表されたアメリカ理学療法士協会のガイドラインにおいても、上記の推奨をさらに具体化する形で、以下のような点が挙げられています。
⚫︎ バランストレーニングは「漸進的で十分に挑戦的」であること
⚫︎ 四肢・全身の多方向への動き、支持面の変化、上肢の支えを減らすことを含むこと
⚫︎ 意図的に一歩を踏み出す練習(ステップ訓練)を含むこと
⚫︎ 太極拳も推奨される(特にリスクが比較的低い方)
⚫︎ 筋力トレーニング単独では転倒予防には不十分
⚫︎ 知識を伝えるだけの教育単独でも不十分で、個別の運動との組み合わせが必要
つまり、「バランスに挑戦する」ことが運動の核であり、筋力トレーニングや太極拳はそれを補完する位置づけです。
これを裏付けるデータとして、2025年に発表されたOtago Exercise Program(OEP)のメタ分析があります 。
OEPとは、ニュージーランドで開発された、バランスと筋力を組み合わせた高齢者向けの段階的な運動プログラムです。
15のRCT(合計1,278名)を分析した結果、OEPは高齢者のバランス・歩行能力・下肢筋力を有意に改善したと報告されています。
特に注目すべきは、健康状態が低下した高齢者(転倒歴がある方、認知機能低下がある方、筋骨格系疾患がある方など)で、より大きな改善効果が見られたという点です。
※ただし、この分析に含まれた研究の質にはばらつきがあり、効果の大きさの解釈には慎重さが必要です。
つまり、すでに何らかの衰えを感じている方こそ、適切な運動介入によって大きな恩恵を受けられる可能性があるということです。
また、Cochrane レビュー(高齢者の転倒予防に関する最も包括的なシステマティックレビュー)でも、地域在住高齢者に対する運動介入は、転倒率を約23%低下させることが報告されています 。
バランストレーニングを含む複合運動が最も一貫したエビデンスを持っています。
「転ぶのが怖い」という気持ちも、実はリスクになる
もう一つ、ここも見落としがちですが、重要なポイントがあります。
それは、「転倒への不安」そのものが、将来の転倒リスクを高める可能性があるということです。
2025年に発表された、53の研究・75,076名を対象とした分析では、「転倒が怖い」と感じている人は、その後実際に転倒するリスクが有意に高いことが確認されました。
たとえば、「転ぶことが怖いですか?」というシンプルな質問に「はい」と答えた人は、「いいえ」と答えた人に比べて、その後の転倒リスクが約60%高かったと報告されています。
また、転倒不安を細かく評価する専用の質問票を用いた分析でも、不安が強い人ほどリスクが段階的に上がっていくという一貫した結果が示されました。
興味深いのは、「バランスに自信がない」ことと「転ぶことが心配」ということは、似ているようで別物だという点です。「バランスの自信」を測る別の尺度では、将来の転倒を予測できなかったのに対し、「転倒への不安・懸念」はしっかりと予測因子になっていました。
なぜ、転倒不安がリスクになるのか。
そのメカニズムとしては、不安が歩行パターンを過度に慎重にしてしまい、むしろ不安定な動きを引き起こすこと。また、転倒を恐れるあまり活動を回避し、結果として身体機能がさらに低下するという悪循環も指摘されています。
国際的な転倒予防ガイドラインでは、転倒への不安を感じている方に対しては、運動に加えて認知行動療法や作業療法を含む多面的なアプローチが推奨されています。
つまり、「怖い」という気持ちは恥ずかしいことでも弱さでもなく、適切に対処すべき重要なサインなのです。
よくある誤解
ここで、これまでの内容も振り返り、転倒予防にまつわるよくある誤解を3つ取り上げます。
×誤解①:「毎日歩いていれば転倒しない」
→ 歩くことは健康の土台として非常に重要ですが、一定のリズムで平地を歩くだけでは、とっさのバランス反応や多方向への姿勢制御は十分に鍛えられません。理学療法の転倒予防ガイドラインでも、バランストレーニングには「多方向への動き」「支持面の変化」「上肢の支えを減らすこと」が必要と明記されています。
×誤解②:「筋トレさえすれば大丈夫」
→ 筋力は重要な要素ですが、それだけでは不十分です。筋力トレーニング「単独」での転倒予防効果は限定的と評価されています。また、転倒回避に重要なのは最大筋力よりも「脚全体で素早く力を発揮するパワー」であることが、複数の研究をまとめた分析で示されています(詳しくは理由②で解説しています)。
×誤解③:「転ぶのは仕方ない、年だから」
→ 転倒は「加齢の必然」ではありません。適切なリスク評価と介入により、多くの転倒は予防可能です。国際的なガイドラインでも、高リスクの方に対する多面的な介入(運動+薬の見直し+環境整備+転倒不安への対処など)が転倒率を有意に低下させることが示されています。
転倒リスク – セルフチェック-
「自分は大丈夫かな」「うちの親は大丈夫かな」
ここまで読んでいただいた方の中には、そう思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
下のツールは、国際的な転倒予防ガイドラインのリスク分類の考え方を参考に作成した、簡易的なセルフチェックです。
いくつかの質問に答えるだけで、おおまかなリスクの目安がわかります。
ご自身やご家族の状態を振り返るきっかけとして、ぜひ試してみてください。
結果はいかがでしたか?
このツールはあくまで簡易的な目安であり、正確なリスク評価には専門職による直接的な評価が必要です。
少しでも気になる結果が出た方は、近くの専門家に相談してみてください。
まとめ
ここまで、長い記事を最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます。
この記事で一番お伝えしたかったことは、「歩くことは大切。でも、歩くだけでは転倒は防ぎづらい」ということです。
転倒予防には、バランスに挑戦する運動、瞬発的なパワー、ながら作業への対応力、そして転倒への不安を「対処すべきサイン」として受け止めること。これらを、その人の状態に合わせて段階的に取り組んでいくことが大切だと考えています。
「まだ大丈夫」と思えるうちから、正しい知識と適切な備えをつけていくことが重要です。
この記事が、一人でも多くの方の役に立ち、転倒予防を含めた、自身の健康を見直すきっかけになれば嬉しいです!
《参考文献》
〜ご相談・体験のお問い合わせ〜
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お身体のことで気になることがございましたら、一人で抱え込まずにお気軽にご相談ください。